重水は人間にとっては甘いがネズミは違う
重水は甘いのか?
結論から言えば、人間にとって「甘い」と感じられるようです。
28人の実験参加者たちに重水と普通の水をランダムになめさせた結果、28人中22人が重水の甘味を認識し、さらに感じる甘さは上の図のように重水の比率とともに上昇していったからです。
またグルコースやスクロースなど元から甘い物質に重水を加えた場合、甘さがさらに増すことが判明。
さらに苦味のある物質を重水に混ぜることで、苦さが緩和されることも示されました。
加えて人間の甘味を感じる受容体を麻痺させるラクチゾールを重水に混ぜてなめると、甘味を感じなくなることが判明しました。
この結果は、重水が人間に甘味を感じさせる仕組みは、甘味受容体の働きに依存していることを示唆しています。
そこで研究者たちは次に、人間の甘味を感じる受容体が重水に対して活性を示すかどうか実験で確かめました。
実験では人間の甘味受容体を持つ細胞に対して重水を加え、活性を測定するというものです。
その結果、重水は甘味受容体を十分刺激することが判明。重水が人間にとって甘いことが示されました。
一方、マウスを使った実験では様子が異なりました。
飢えさせたマウスに普通の水と重水、砂糖水の3つを与えた結果、砂糖水がよく消費された一方で、水と重水の消費量はかわりませんでした。
つまりマウスは重水に魅力を感じていなかったのです。
この結果は、重水が甘いと感じるかどうかには、種によって違いがあることを示します。