全身麻酔の仕組みから「意識の正体と発生源」が見えてきた
全身麻酔の仕組みから「意識の正体と発生源」が見えてきた / Credit:Canva
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全身麻酔が効く仕組みから「意識の発生源」が見えてきた (3/3)

2021.05.09 Sunday

前ページスパイクは脳の各所の働きを統合するためのシグナルだった

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意識は視床を発火点にして形成される

意識は脳の各所の連携により生じる
意識は脳の各所の連携により生じる / Credit:Canva

今回の研究により、意識が1秒間で7回ほどの単純なスパイクの存在に大きく依存していることが示されました。

無意識(同期状態)であったの各所は、視床から発せられたスパイクに促されるようにして自らもスパイクを発し始めました。

そして同期を打ち破って高周波の干渉状態に移行することで、領域間のコミュニケーションを復活させ、1つの意識を形成していたのです。

また点火点として機能することがわかった視床は、意識形成における中核的な領域であることがわかりました。

不思議な1秒間で7回のスパイクは、脳の各所のコミュニケーションの復活・復活において重要な役割を果たしていたのです。

麻酔は脳の各部位の機能そのものではなく連携を乱すことで意識を奪う
麻酔は脳の各部位の機能そのものではなく連携を乱すことで意識を奪う / Credit:Canva

そして麻酔「プロポフォール」が効き目を発するのは、このスパイクを減少させ、脳の各所のコミュニケーションを鈍らせるからだと明らかになっています。

脳にはさまざまな機能を担当する領域が存在しますが、麻酔はそれぞれの機能を網羅的に抑え込むのではなく、連携(リズム)を乱すことで意識を失わせる効果を発揮していたのです。

今回の研究で用いられた麻酔「プロポフォール」はセボフルラン、イソフルラン、デスフルラン、バルビツール酸塩、エトミデートといったさまざまな麻酔と同じ標的部位(GABA受容体)を持つため、これらの麻酔の効き目も、同期と関連している可能性があります。

一方、ケタミンや亜酸化窒素などのNMDA拮抗薬を標的とする麻酔薬は、異なるダイナミクスとメカニズムを持っていると考えられています。

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