スポーツの定量化と自転車競技への適用
科学の話を聞いているとよく耳にする「定量化」という単語。
これは曖昧なニュアンスで表現していたものを、きちんとした数値で表すことを意味しています。
科学的に物事を分析する場合、この定量化は非常に重要な作業です。
近年、スポーツの世界でも情報が定量化された科学的分析が増えてきました。
例えば、「100m走者はどんな体型がベストか?」という疑問に対して、多くの人は「スレンダーかつ筋肉質」「重すぎてもだめだが、十分な筋肉が必要」となんとなく回答できます。
しかし、身長と筋肉量の関係を定量化して、「歴代のオリンピック決勝に残った180~185cmの走者のうち、70%以上が〇〇kgの筋肉量を持っていた」と答えるほうが明確で参考になります。
このようにスポーツにおける定量化は、結果向上のための信頼できる情報を生み出すのです。
そして今回、定量化の対象となったのが、自転車競技の1つ「ポイントレース」です。
ポイントレースとは、自転車でトラックを数十分にわたり周回しつづける競技であり、規定の周回ごとに順位に応じたポイントが与えられます。
そして、最後に一番でゴールした人ではなく、合計ポイントの高い人が優勝します。
自転車競技では空気抵抗の影響を強く受けるため、常に先頭を維持するのではなく、他選手の後ろに下がって体力を温存することも大切です。
しかし、どこかのタイミングで先頭を走らなければ勝利できません。
つまり協力しあって体力を温存する集団行動と、先頭を狙う分離の駆け引きこそが、ポイントレースの醍醐味なのです。
そして今回、研究チームは「集団」と「分離」の割合を時間経過ごとに定量化することに成功しました。