思ったより時間が多く経過してしまう「時間圧縮」効果
退屈な仕事はいつまで経っても時間が過ぎないのに、楽しい時間はあっという間に流れてしまう。
ほとんどの人は、そんなことを日々感じていることでしょう。
かのアインシュタイン博士も同じことを感じていたらしく、こんな言葉を残しています。
「熱いストーブの上に手を置いたら、1分が1時間くらい長く感じられるでしょう。
でも可愛い女の子と過ごす時間は、1時間が1分にしか感じられない。
それが相対性というものです」
相対論はともかく、人は楽しいことに集中していると時間を忘れてしまいがちです。
そんな思ったより時間が早く過ぎてしまうことを、心理学では時間圧縮効果と呼びます。
ゲーマーの人は、ビデオゲームに熱中しているとき、この効果を強く実感しているのではないでしょうか?
これについてはすでに先行する研究があり、ゲームがプレイヤーに時間を忘れさせる可能性があることが示されています。
そして、新しい研究は興味深いことに、この効果が2次元画面で同じゲームをプレイする場合と比較して、VRヘッドセットを装着してプレイする場合に、より大きくなると報告しているのです。
今回の研究著者、カリフォルニア大学サンタクルーズ校のグレイソン・ミューレン(Grayson Mullen)氏は、友人の家で交代でVRゲームをプレイしていたとき、突然奇妙な感覚に襲われたといいます。
「ゲームをやめたとき、時間の経過がまったくわからなくなったんです。自分のプレイ時間が10分だったのか、40分だったのかもわからず、1人で長くプレイしすぎたんじゃないかと不安になりました」
ミューレン氏は、大学で認知科学を専攻していました。
そこで、彼は心理学のニコラス・ダビデンコ教授のサポートを得て、この奇妙な感覚について研究してみることにしたのです。