全部同じ色のボール
ここに映るボールは、おそらく誰の目にも赤、緑、青の三色に見えるでしょう。
しかし、錯視画像のお約束どおり、これら12個のボールは実は全て同じ淡いベージュ色です。
なぜ、私たちの目はこれほどまで明らかに、ボールの色をベージュ以外の色で認識してしまうのでしょう?
ノヴィック教授によると、この錯覚は「ムンカー・ホワイト錯視(Munker-White illusion)」と呼ばれる現象に起因するといいます。
「本質的に、私たちの知覚は色に対する鋭敏さより、形に対する鋭敏さの方が優れています。そのため、私たちは形をより詳細に認識する一方、色はあまりはっきりと認識しないのです。
そのため、球体の輪郭はすべて同じように見えますが、色は隣接する空間ににじみ出したり、同化したりしてしまうのです」
ノヴィック氏はこのように説明しています。
その証拠に、この手の画像は縮小すると錯覚の効果が強調されますが、拡大すると効果が抑えられます。
ためしに上の画像の一部を拡大してみましょう。
気を抜くと騙されそうになりますが、たしかにこのサイズで見た場合、ボールの色がそれぞれ同色の薄茶色ぽいものだということが理解できます。
試しにブラウザの表示を縮小したり、拡大してみればその効果はよりはっきりわかるでしょう。
これを見るとわかるように、具体的には、ボールの色は全景で横切るストライプの色に引っ張られているのです。
今回の画像では、それぞれのボールの前を、赤、青、緑のストライプのいずれかが横切っています。これが実際の色相認識を歪めてしまうのです。
この錯覚は背景の色ではなく、全景の横切るストライプの色に依存して発生しています。
そのため、ボールを横切るストライプを試しに削除してみると、この錯視効果は消えてしまいます。
頑張って全景のストライプを消した人がいますが、たしかにボールは同色でした。
こうした錯視の効果はいろいろと研究されていますが、脳内で起きるメカニズムについては、まだ完全に理解されていません。