島固有のエミューの卵を約200年ぶりに発見!
エミューは、ヒクイドリ目ヒクイドリ科エミュー属の鳥類で、二足歩行のいわゆる「飛べない鳥」です。
現在は、オーストラリア本土の1種(Dromaius novaehollandiae)のみが現生するとされています。
かつては本土周辺の3つの島、タスマニア島・カンガルー島・キング島のそれぞれに亜種のドワーフ・エミュー(本土より小さなエミュー)がいましたが、19世紀初頭のヨーロッパ人の入植と同時に姿を消しました。
タスマニア島では1850年、カンガルー島では1830年、キング島では1805年を境にドワーフ・エミューが見られなくなっています。
しかし、その後の調査で、タスマニア島とカンガルー島からは数個の卵が発見され、わずかながら生き残っていることが示唆されました。
その一方で、キング島からは今日まで、一切の卵が見つかっていなかったのです。
そこで、ロンドン自然史博物館のジュリアン・ヒューム氏とキング島研究者のクリスチャン・ロバートソン氏が共同で、卵の探索を開始。
その結果、キング島の砂丘の中で、島固有のドワーフ・エミューの卵が約200年ぶりに再発見されたのです。
今回の調査では他に、本土で38個、タスマニア島で6個の卵が見つかっています。
上の画像の左から、本土、タスマニア島、カンガルー島、キング島の卵です。
殻を採取したところ、キング島の卵はほぼ完全な状態まで復元でき、両氏は非常に貴重な標本を手に入れたと考えています。
分析の結果、キング島のエミューは本土の現生種より44%ほど体長が小さいことが示唆されましたが、卵のサイズ自体はほぼ同じでした。
本土のエミューは体高1.6〜2.0メートル、体重40〜60キロですが、キング島のエミューは成鳥でもその半分くらいと推測されます。
体長の割に卵が大きい理由について、両氏は「島の厳しい環境に耐えるため」と指摘。
「卵が大きければ、孵化後も自分で食料を調達できるようになるまで、殻の中に閉じこもって入られます。また、島の夜の寒さをしのぐ保温効果もあるでしょう」と説明しました。
実際の姿はまだ見つかっていませんが、今も島のどこかでひっそり暮らしているのかもしれません。