研究は複数人が脳だけの通信を介して問題を解決する方法を考案した
研究は複数人が脳だけの通信を介して問題を解決する方法を考案した / Credit: Mark Stone/University of Washington
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脳だけで友達とゲームをプレイするテレパシー通信技術

2021.06.05 Saturday

テレパシーによるコミュニケーション技術は実現に近づいているかもしれません。

米国ワシントン大学の研究チームは、言葉を介さずに脳の間で直接通信を行って、3人の人間が協力して問題を解決させる方法を考案しています

脳だけを使って情報が送受信できるという、この研究は2019年4月16日に科学雑誌『Scientific Reports』で発表されています。

How you and your friends can play a video game together using only your minds(UW) https://www.washington.edu/news/2019/07/01/play-a-video-game-using-only-your-mind/ Scientists achieve brain-to-brain communication between humans(ZME SCIENCE) https://www.zmescience.com/science/news-science/scientists-perform-brain-to-brain-communication-between-humans/
BrainNet: A Multi-Person Brain-to-Brain Interface for Direct Collaboration Between Brains https://www.nature.com/articles/s41598-019-41895-7

テレパシーする技術

人間は社会的な動物で、1人では解決できない問題も協力して解決することができます。

そのために重要なのが、互いのコミュニケーションです。

研究チームの興味は、それがだけを使ってできるのかということでした。

「ブレインネット(BrainNet)」と名付けられたシステムは、3人のグループが脳だけを介した共同作業によって、テトリスのようなゲームをプレイします

このゲームは、テトリスのように画面上部にブロックが表示され、そのブロックがはまる行が下部に表示されます。

ゲームの一例。受信者となるプレイヤーは左側の画面のみが見えており、送信者となる2人は操作はできませんが左側の画面が見えている。
ゲームの一例。受信者となるプレイヤーは左側の画面のみが見えており、送信者となる2人は操作はできませんが左側の画面が見えている。 / Credit: Jiang, et al. 2019, Scientific Reports

グループのうち2人は情報の送信者で、ゲームを直接操作することはできませんが、上の画像の右側に表示されているブロックと下部ラインの両方を見ることができます

しかし、ゲームのプレイヤーとなる3人目の人物は、画像の左側の画面しか見えません。

つまりブロックしか見えておらず、それを下ろすべき下部ラインが見えていないのです。

プレイヤーは、他2人の送信者が画面を見て判断した、ブロックを回転させるべきという判断と、どの位置に下ろすべきという判断を脳の通信だけで受信して決定することになります。

ゲームはテトリス同様、下部のラインがそろえばクリアです。

実験は、こうした参加者グループを5つ用意し、16ラウンドのゲームをプレイしてもらいました。

各グループの参加者たちは、全員が別々の部屋にいて、直接見ることも話すこともできません。

彼らにできるのはブレインネットを介した、脳の通信だけです。

次ページ思考した判断を相手の脳へ送受信する仕組み

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