水なしでエサを食べられる唯一の魚類?
クモウツボは、ウナギ目ウツボ科 (Muraenidae)の魚類で、インド洋〜太平洋に広く分布します。
彼らののど奥に第二のアゴがあることは十数年前から知られていました。
海岸線に沿って水中から顔を出し、陸上のカニを捕らえて飲み込む様子がたびたび目撃されていたのです。

以来、研究チームは、第二のアゴを「咽頭アゴ(pharyngeal jaw)」と名付け、クモウツボの摂食メカニズムの調査を続けてきました。
予想される摂食プロセスはいたってシンプルです。
まず、第一のアゴで獲物をホールドします。他の魚なら、この状態でエサを飲み込むには水が必要です。
しかし、クモウツボはのど奥から咽頭アゴを伸ばし、口内で獲物をつかんで、食道に引きずり込みます。
この摂食メカニズムは、水をまったく必要としません。

一方で、これを実際に証明することは容易ではありませんでした。
野生下での観察はあまりに困難なため、研究チームは、7匹のクモウツボを5年間にわたり訓練しました。
研究主任のリタ・メータ氏は「彼らは水の中の方が安全だと思っているので、最初の内は、陸上のエサをつかんだまま水中に戻ってしまいました。
それでも、熱心な学部生の訓練のサポートもあり、ついに陸上での摂食の観察に成功したのです」と話します。
その様子がこちら。
ご覧の通り、エサをくわえた状態から、スルスルッとのど奥に吸い込まれていくのが分かります。
これは咽頭アゴを使って、エサを引きずり込んでいるためです。
メータ氏は「水に頼らずに摂食できる魚類は、今のところクモウツボだけ」と指摘。
「陸上で獲物を食べるムツゴロウでさえ、口の中に貯めた水を利用して飲み込んでいるにすぎません。
結果として、クモウツボは、食料資源のために水中と陸上という大きく異なる環境を利用できる珍しい魚類と言えるでしょう」と続けています。
地球上で最もエイリアンに近いのはクモウツボかもしれません。


























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