実は若かった地球のコア
地球のコアの成長が偏っているという事実は、一体何を意味しているのでしょうか?
これは、現在の地球磁場やその歴史に影響を与えることになります。
なぜなら、地球の地場は、固体の内核から放出される熱が、その外側を包む液状の外核に対流を生じさせることで発生しているからです。
成長速度の偏りが、具体的に現在の地球磁場にどのような影響を与えているかという問題は、今回の研究の範疇を超えており、答えることはできないと研究者は語ります。
ただ、今回の結果は、もう1つ別の重要な事実を示しているようです。
ロマノヴィッチ氏によると、内核の成長の偏りは、内核の成長が推定よりもずっと緩やかだったことを示す証拠なのだといいます。
つまり、内核は私たちが考えているよりもずっと若く、せいぜい形成されて5億年から15億年の間だと考えられるのです。
この事実は、私たちに新しい疑問を提示します。
それは地球初期の頃に、地球磁場はどうやって発生していたのか? ということです。
地球の磁場は、太陽からくる危険な粒子から地球を守っているため、いつから発生していたのかというのは重要な問題です。
現在の研究では、地球の磁場はおよそ30億年前から存在していたことがわかっています。
となると、内核の形成年齢と磁場の最初の発生時期に誤差が生じてしまいます。
つまり、かつての地球は、内核の熱放出とは異なるプロセスによって、外核を対流させ磁場を作り出していたことになるのです。
内核の年齢がいくつなのか? もし内核が若い場合初期地球の磁場はどうやって発生していたのか?
この問題は、地質学者の間で30年以上続く議論となっています。
磁場の発生より内核が若かった場合については、地質学者の間からアイデアがだされていて、溶解した鉄から分離した軽元素が固体化する際に放出した熱ではないか、といわれています。
これが事実なのかはまだわかりませんが、今回の研究が示す内核の非対称な成長は、内核の年齢を決めるために役立つ情報であり、30年来の謎に新たな展望を与えてくれるかもしれません。
私たちの足元には、未だに多くの謎が潜んでいるようです。