私たちが彼らを探しているとき、彼らも私たちを探している
「太陽系外惑星から見れば、私たちこそエイリアンです」
コーネル大学の天文学者リサ・カルテネッガー(Lisa Kaltenegger)教授は、そのように語ります。
カルテネッガー教授は、太陽系外惑星の探索や宇宙生命の調査を専門とする研究者です。
しかし、今回彼女は、自分たちが使う観測方法によって地球を発見するのに有利な星がどれだけあるのか? ということを考えました。
系外惑星を探す場合、もっとも一般的な方法はトランジット法と呼ばれるものです。
これはその惑星が属する星系の主星と交差した際に起きる「食」を利用した観測方法です。
惑星は自身の力で光り輝くことはないため、遠い宇宙から見つけ出すことは困難です。
そのため、太陽のような主星の前を惑星が通り過ぎた際に起きる、恒星の減光を利用して見つけ出すのです。
他の星系からこの方法で地球を探そうとした場合は、地球が太陽の前を通過することで、太陽の光が暗くなるのを見る必要があります。
しかし、宇宙の星星はダイナミックに動き回っているため、この観測はどこからでもできるというわけではありません。
星の位置によって、この観測は可能になったり不可能になったりしているのです。
カルテネッガー教授のチームは、欧州宇宙機関(ESA)の位置天文衛星「ガイア」が調査した、あらゆる天体の位置に関する測定データ「Gaia eDR3」を利用して、どの星が地球のトランジット法観測を可能にするかを調べました。
このガイアの観測は、天の川銀河の正確な地図を提供するとともに、時間をさかのぼって星がどの位置にいたか、どっちに向かって移動しているかまで知ることができます。
こうして、人類文明が誕生してからこれまでの5000年間と、今後5000年間の計1万年の期間で地球を発見できる星系を明らかにしたのです。