いたずら好きのピタゴラスが作ったとされる「ピタゴラスのカップ」
いたずら好きのピタゴラスが作ったとされる「ピタゴラスのカップ」 / Credit:zmescience,Home Other Feature Post The Pythagorean cup – the vessel that spills your booze if you’re too greedy(2021,)Wikimedia Commons.
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欲張ると飲み物がきえる「ピタゴラスのカップ」の大発明?

2024.06.23 Sunday

古代ギリシアの哲学者ピタゴラスは、「三平方の定理」をはじめ現代においても重要となるさまざまな発見をした数学者です。

しかし、同時に彼は優れた発明家でもありました。

彼の発明品の中で、特に多くの人々を魅了しているものが「ピタゴラスのカップ」と呼ばれる盃です。

「貪欲な杯」としても知られるこのカップは、なんとワインを欲張って注ぎすぎると、中身が全部底から流れ出てしまうのです。

なんとも教訓めいたこのカップは、いったい如何なるものなのでしょうか?

 

The Pythagorean cup – the vessel that spills your booze if you’re too greedy(Zme Science) https://www.zmescience.com/science/physics/the-pythagorean-greedy-cup-423545/

注ぎすぎると中身がなくなるカップ

「ピタゴラスのカップ(Pythagorean cup)」あるいは「貪欲なカップ(greedy cup)」と呼ばれる杯は、中心にポールの入った独特の形状をしています。

このカップに水を注ぐと、普通に中に水が満たされていきますが、一度真ん中のポールの高さを超えてしまうと、中身が全部底から流れ出てしまいます

まったく知らないという人は、まず下のようなカップを紹介している動画を見てもらうと早いでしょう。

3Dプリンタで再現されたピタゴラスのカップ
3Dプリンタで再現されたピタゴラスのカップ / Credit:MEL Chemistry,A greedy cup(2019)

確かにカップに注いだ水は、ある高さを超えるとカップの底から流れ出てしまっています。

なぜこのようなことが起きるのでしょう?

この仕組みを理解するため、カップの断面図を見てみましょう。

ピタゴラスのカップの断面
ピタゴラスのカップの断面 / Credit:en.wikipedia

こうしてみると、このカップの秘密はカップの真ん中に立てられたポールにあることがわかります。

ピタゴラスのカップの断面を示したアニメーション
ピタゴラスのカップの断面を示したアニメーション / Credit:Wikipedia

カップはこのように、中央のポールの中をU字型の管が走っており、底にこの管とつながる穴が空いています。

1度カップの中身が、ポールより高い位置まで水位をあげてしまうと、たちまち管を伝って中身がすべて流れ出ていってしまうのです。

しかし、なんで1度管に水が流れ始めると、中身がなくなるまで水は流れ続けるのでしょう?

これはサイフォンの原理と呼ばれるものを利用しています。

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