サメにも「棲み分けルール」が定着していた
資源共有のための棲み分けは、互いに競合する種、とくに捕食者の共存を可能にするために必要です。
しかし、移動性の高い水生生物の活動パターンを調査することは難しいため、海洋捕食者の棲み分けがどれほど発生しているのかはあまり理解されていません。
そこで研究チームは、メキシコ湾を縄張りとする数種のサメにタグを付けて、活動パターンのモニタリング調査を開始。
6種のサメ、計172匹を採捕してタグを装着し、特殊な加速度計技術を使って、獲物を狙う時間帯を追跡しました。最終的に、3766時間分のサメの行動を記録しています。
データ分析の結果、狩りのタイミングはサメの種類によって異なることが判明したのです。
具体的には、その海域で最も大型の「イタチザメ」は、自分たちの好きなときに採餌していました。
イタチザメは同エリアで最も支配的であるため、他のサメのことを考慮する必要はないようです。
主には日中に狩りをすることが多く、他のサメは残り時間を分割していました。
同等に支配的な「オオメジロザメ」は早朝に狩りをし、それより小さな「メジロザメ」は午後に、「カマストガリザメ」は夕方に狩りをし、2種のハンマーヘッド(ヒラシュモクザメとアカシュモクザメ)はともに夜間に狩りをする傾向がありました。
研究チームは、この結果について「サメはどの種でも夜明けと夕暮れに狩りをすることが多いので、とても驚きでした。
時分割で資源を共有することは自然界では比較的まれですが、海の世界では予想されていた以上に広く浸透しているのかもしれません」と述べています。
チームは今後、メキシコ湾以外の海域でもサメの棲み分けが起きているのかを調査する予定です。