有袋類の遺伝子改変に初成功!
チームは、ゲノム編集のターゲットとして、色素合成酵素の「チロシナーゼ(Try)遺伝子」を選び、遺伝子ノックアウト(破壊)を行いました。
チロシナーゼ遺伝子が破壊されることで、細胞は色素を産生できなくなります。
13匹のメスを対象に先の手順で、溶液の注入・受精卵の移植をした結果、8匹のメスから計33匹の子どもが生まれました。
そのうちの5匹は、チロシナーゼ遺伝子が破壊されたことを示す「アルビノ(白色個体)」となっています。
また、2匹の子どもは、一部の細胞が色素をつくれない「モザイク(混合個体)」となっています。
さらに、ゲノム編集されたオポッサムの遺伝子(チロシナーゼ遺伝子の欠如)は、次世代に受け継がれていました。
有袋類におけるゲノム編集のための技術の確立と、実際の遺伝子改変の成功は世界初の快挙です。
この成果は今後、謎の多い有袋類の発生メカニズムや、有袋類に特有の性質を遺伝子レベルで解明する手助けとなります。
さらに、有胎盤類との比較を通して、哺乳類の進化の理解にも大きく貢献するでしょう。