脳腫瘍の新薬開発は難しい
現在、膠芽腫は部分的な摘出や、化学療法・放射線療法によって治療されますが、患者の負担は大きく、治療自体も非常に難しいと言われています。
そのため多くの患者や医師は、膠芽腫をターゲットにした新薬の開発に期待を寄せています。
ところが現在の薬剤開発は非常に難しく、開発プロセスには膨大な時間がかかります。
この難しさは実験室と体内の違いによって生じ、サッチフェイナロ氏はそのことを次のように説明しています。
「がんは他のすべての組織と同様に、ペトリ皿や試験管での挙動と、人体の中での挙動が全く異なります」
「実験薬の約90%が臨床試験で失敗しますが、これは実験室で得られた作用が患者で再現されないためなのです」
成功率10%の実験薬を脳に打ち込みたい人などいないでしょう。
膠芽腫の新薬開発がなかなか進まないのも納得できますね。
そこでチームは、人体の挙動を実験室に持ってくるための大胆な技術を開発しました。
患者そっくりの「活動する脳腫瘍モデル」を3Dバイオプリントで実験室に再現するのです。