火星衛星探査計画「MMX」
現在火星探査では、今年2月に火星へ着陸した米国の探査機パーサヴィアランスが生命の痕跡を調査しており、今年5月には中国の探査機祝融号が火星への着陸に成功しています。
そして、NASAとESAが協同で進める「Mars sample return:MSR(火星サンプルリターン)」計画では、早ければ2031年に火星で回収したサンプルを地球へ持ち帰る予定となっています。
また中国も同様に、2030年まで火星からサンプルを持ち帰ることを計画しています。
米国・中国が相次いで火星着陸の1位、2位を獲得し、火星調査ではリードしています。
日本は、はやぶさが世界で初めて小惑星からのサンプル回収を実現し、サンプルリターンミッションでは世界最先端をリードしていますが、火星調査においては出遅れている印象があります。
しかし、ここに来て日本が世界で一番最初に火星のサンプルを持ち帰る可能性が出てきました。
それが「Martian Moons eXploration:MMX(火星衛星探査)」計画です。
このプロジェクトでは、火星の衛星フォボスへ探査機を送り、その表面から掘り起こされたサンプルを地球へ持ち帰ることが計画されています。
MMXの打ち上げは2024年度が予定されていて、約1年後に火星近傍へ到着。
少なくともフォボスの異なる2カ所へ着陸し、合計10g以上の表層物質サンプル取得を目指しています。
はやぶさ2のサンプル取得目標は0.1gだったため、MMXが目指すのはその100倍の量です。(実際はやぶさ2が持ち帰ったサンプルは5g以上だった)
そして2029年に、地球帰還予定となっています。
現在、米国・中国が進めるMSR計画は、それぞれ2031年、2030年が地球帰還予定となっているため、MMX計画が予定通り実現した場合、日本は世界のどこよりも早く1番乗りで火星サンプルを持ち帰ることになります。
しかし、なぜ火星衛星フォボスなのでしょう?
衛星の物質を持ち帰って、火星のサンプルになるのでしょうか?