火星衛星フォボスの表面サンプル
最新のコンピュータシミュレーションでは、火星上で発生した無数の少隕石衝突が、火星物質を掘り起こして空高く舞い上げ、火星に一番近い衛星フォボスに降り積もらせていることを示しています。
JAXAの研究者たちは、フォボス表層土の約0.1%は火星由来の物質だと予想しています。
また、この火星サンプルは深い位置から掘り起こされたものや、火星のさまざまな地域のものが含まれる可能性があります。
NASAの現在の調査は火星のジェゼロ・クレーターで行われていますが、特定の地域でサンプル回収を進める計画より、MMXは多様な情報を取得できる可能性があるのです。
「火星で太古に化石化した生命の痕跡や、最近まで存在していた生命の死骸やDNAの破片を発見できる可能性もある」、とJAXA宇宙科学研究所の兵頭龍樹博士は述べています。
火星にはもう1つダイモスという衛星がありますが、ダイモスはフォボスより火星から離れているため、ここまで物質が飛ばされる衝撃では、生命の痕跡などは溶けてしまって発見できないかもしれません。
またダイモスでは、フォボスより火星表層物質の割合は約20倍小さくなってしまいます。
さらに、フォボスの表層からサンプルを回収することには、他にもいくつかの重要な利点があると考えられています。