ストラディバリウスに施された特殊処理の一端が明らかになる
使用された化学物質は木材の至る所に見られました。
しかも表面だけでなく木材の内部にしっかりと浸透しています。
つまり木材は混合薬品にしばらく浸されてから使用されており、それが楽器の音質に直接影響を与えていたのです。
またナジヴァリー氏は、「今回の研究は、製作者ストラディバリとグァルネリが木材加工法を自分だけのものにしていたことを明らかにしています」と述べました。
彼らは、化学薬品に浸けた木材が特殊な音色を生み出すと気付いていたのです。
しかし当時は特許などないため、方法そのものを秘密にすることで優位性を保とうとしました。
とはいえ、誰もこの秘密処理を肉眼で暴くことができず、結果として秘密にされたまま技術が廃れていったようです。
現在、名器ストラディバリウスやグァルネリは数百本しか残っておらず、1本で数千万円以上の値が付くこともあります。
それらの音色は独特で再現できていませんが、今回の研究で秘密の一端を担う化学物質の正体が明らかになりました。
化学物質の正確な配合とそれが与える音響特性の詳細を知るには、さらなる研究が必要でしょう。