再現率100%!恐るべき声マネのテクニック
実際に撮影されたエコーの声マネがこちら。
Bet you weren’t expecting this wake-up call! You’re not hearing things, our resident lyrebird Echo has the AMAZING ability to replicate a variety of calls – including a baby’s cry!
📽️ via keeper Sam #forthewild #tarongatv #animalantics pic.twitter.com/RyU4XpABos
— Taronga Zoo (@tarongazoo) August 30, 2021
偽造かどうかを疑ってしまうレベルですが、これはエコーが本当に発している鳴き声です。
鳥類部門の責任者であるリアン・ゴレビオウスキー(Leanne Golebiowski)氏によれば、エコーが赤ちゃんの泣きマネを始めたのは1年ほど前とのこと。
「おそらく、その時期に来園中の赤ちゃんの泣き声を聞いて、ひそかに習得したのでしょう」と話します。
タロンガ動物園は現在、コロナパンデミックの影響で閉鎖されており、エコーはロックダウン中に泣きマネを自分のものにしたのでしょう。
また、エコーはこの期間中に、新たに2つの音を覚えたという。
1つは電動ドリルの音で、もう1つは火災報知器の音です。ゴレビオウスキー氏は「”今すぐ避難してください(evacuate now)”というアナウンスまで覚えてしまっている」と言います。
コトドリは機械音をよく真似することで知られていますが、人の声を真似るのは非常に稀です。
その一方で、なぜこれほど精密な声マネができるのかは分かっていません。
興味深いことに、コトドリの声帯は、他の鳴き鳥に比べて非常にシンプルです。
鳴き鳥のように4対の筋肉ではなく、3対の筋肉で構成されており、比較的原始的なものと考えられています。
こちらは2007年に公開された映像で、南オーストラリアのアデレード動物園(Adelaide Zoo)で飼育されていた「チューク(Chook)」というコトドリの声マネです。
動画内では、生息地を共にする他の鳥類のさまざまな声や、カメラのシャッター音、チェーンソー、サイレン音などを披露しています。
案内役を務めるイギリスの著名な動物学者のデビッド・アッテンボロー氏は「コトドリの歌は、あらゆる鳥類の中で最も複雑かつ精巧で、最も美しい」と評しています。
オスもメスも1年中鳴いていますが、オスは冬の繁殖期に多く鳴くことから「求愛」に関連しており、メスは天敵の鳴き声をよく真似ることから「防衛」に関連していると考えられています。
また、最近の研究では、オスが「敵発見、危ないぞ、逃げろ!」という偽の鳴き声を発して、メスをおびき寄せ、交尾成功率を高めていることが判明しました。
このように、コトドリの声マネの用途は多岐にわたり、目的も生息環境や性別によって異なります。
今回観察されたエコーの泣きマネは、もしかしたら「早く元気な赤ちゃんの声を聞きたい」という気持ちの表れなのかもしれません。