1日4〜5個のピーナッツで「脳卒中・心疾患」が防げる?
ピーナッツには、ビタミン、ミネラル、食物繊維、不飽和脂肪酸など、心臓に良い栄養素が豊富に含まれています。
ピーナッツを摂取することで、高血圧や慢性炎症の危険因子、悪玉コレステロールの血中濃度などを減らし、心血管疾患のリスクを下げることが可能です。
今回、大阪大学大学院 医学系研究科のチームは、アジア圏におけるピーナッツの摂取量と、脳卒中・心血管疾患の発症率との関連性を調査しました。
対象となったのは、日本公衆衛生協会(JPHA)が、1995年と1998-1999年の2期に分けて募集したアジア人男女、計7万4000人以上(45歳〜74歳)です。
参加者には、ピーナッツの摂取頻度を含む生活習慣アンケートに回答してもらいました。
それぞれの参加者は、最初に登録された時期に応じて、2009年または2012年までの約15年間にわたって追跡調査を受けています。
脳卒中および心疾患の発症率は、本研究に参加した地域の78の病院との連携により決定。
それと同時に、参加者がアンケート票に記入したその他の健康状態、喫煙、食事、飲酒、身体活動も調整しました。
医療記録によると、追跡期間中に計3599件の脳卒中(2223件の虚血性脳卒中、1376件の出血性脳卒中)と、計849件の虚血性心疾患が発生していました。
(出血性は、組織内部で起こる出血によるもので、虚血性は、動脈が詰まって十分な血液と酸素が供給されなくなることで生じるもの)
また、ピーナッツの摂取量は、最も少ない人で1日0個、最も多い人で1日平均4.3個でした。
以上を踏まえて、ピーナッツを1日4〜5個食べる人をまったく食べない人と比較した結果、以下のメリットが判明しました。
・虚血性脳卒中のリスクが20%低下
・脳卒中全体のリスクでは16%低下
・心血管疾患のリスクが13%低下
この結果は、男女ともに一貫しており、性別による差は見られませんでした。
一方で、ピーナッツの摂取量と、出血性脳卒中および虚血性心疾患のリスク低下との間には、有意な関連性は認められていません。
研究主任の池原 賢代(いけはら・さとよ)氏は、次のように述べています。
「今回の研究は、アジア人集団において、ピーナッツの摂取量が多いほど虚血性脳卒中と心疾患の発症リスクが低下することを初めて示したものです。
アジアの国々では、ピーナッツや木の実を食べる習慣はそれほど一般的ではありません。
しかし、わずかな量でも食事に加えることで、各疾患のリスク低減に役立つと考えられます」
アメリカ心臓協会(American Heart Association)は、効果的なピーナッツの摂取法として、無塩ナッツを1週間に約5皿(1皿はナッツ大さじ2杯分)を推奨しています。
また、ピーナッツの他に、カシューナッツ、クルミ、ピーカンナッツ、マカダミアナッツ、ヘーゼルナッツなども同様の健康効果があると指摘しています。
しかし、ナッツ類は食物繊維が豊富で消化に時間がかかるので、消化不良で腹痛や下痢を引き起こす恐れもあります。
食べ過ぎにはくれぐれも注意しましょう。