多くの人がキャベンディッシュしか食べたことがない理由
多くの人がキャベンディッシュしか食べたことがないのは、キャベンディッシュを超えるバナナが作られたり、世界に流通したりしないからです。
その原因は主に3つあります。
①同じ大きさや形、味が求められている
「消費者は一貫した体験を求める」というのが、青果業界での定説です。
私たちはスーパーに並ぶものが、同じ形や大きさ、色であることを望んでいます。
もちろん、これはバナナだけに限った話ではありません。
ニンジンも同じ形や大きさが求められていますし、アボカドも同じ理由で1種類しか販売されていません。
②キャベンディッシュは安い
昔はバナナも貴重でした。
実際、18世紀半ばのニューヨークでは、バナナを食べることが一種のステータスとなっていたようです。
しかし現在では、バナナが最も安価な果物になっています。
人々にとってバナナは「安くて美味しいもの」であり、高いバナナの需要は一部の除いてほとんどありません。
費用を投資して「美味しく高価な別のバナナ」を作ったとしても、見返りは少ないでしょう。
③インフラの固定化
バナナのようなトロピカルフルーツを安価で世界中に流通させるには、専用のグローバルインフラが必要となります。
現在、冷蔵輸送コンテナ、熟成を遅らせるホルモン剤、膨大な数の輸送箱などは、すべてがキャベンディッシュに合わせて作られています。
他の品種を導入することは、世界規模の機械にサイズの異なる歯車を入れるようなものであり、大規模な変更が必要になります。
これらの点を考えると、今後もしばらくはキャベンディッシュだけを楽しむしかなさそうですね。