オスは寒い場所を、メスは暖かい場所を好む
研究主任のエラン・レヴィン氏と同僚は、多くの動物種を調べる中で、理想的な温度の好みがオスとメスで分かれていることに気づきました。
そこでチームは、イスラエルに生息する野生のコウモリと鳥類の生態について、過去40年分の記録データをくわしく分析。
その結果、コウモリと鳥類のオスは山頂付近などの寒い高所を好み、メスは気温が比較的高い谷間を好むことが分かったのです。
また、哺乳類の野生マウスにも同様の性差が見られました。
このことからチームは「多くの動物種において、オスとメスで痛みの感じ方が異なるように、温度感覚も同じ神経系の違いに起因しているのではないか。また、それは進化のプロセスで生じた違いではないか」と推測しています。
レヴィン氏は、温度感覚をもとに生息域を分けることのメリットについて、次のように指摘します。
「鳥やコウモリの場合、繁殖期以外はオスとメスが離れて暮らすため、メスをめぐるオス同士の競争が減ります。
それから、メスの奪い合いの中で発生する攻撃性、それに伴うメスやその子への派生的な暴力が軽減され、ひいては種の存続にも繋がるでしょう」
さらに、性別による温度感覚の違いは、メス親が子どもをより大切に扱うよう刺激しているとも考えられます。
たとえば、メス親が寒さを敏感に感じると、子どもを温めようとする傾向が強くなります。子は多くの場合、体温調節のために外部からの働きかけが必要です。
レヴィン氏は、こう結論します。
「温度選好の性差は、多くの恒温動物に共通する普遍的な現象であり、種の分散、行動、社会性を形成する重要な力として作用しているはずです。
種の生態については今後、このような広範な観点から調査すべきと考えます」
しかし、この説明は、人間の男女にも当てはまるのでしょうか?