・人は背後の様子を無意識に学習して、情報処理を行っていることが発見された
・この発見から、知覚と運動に関する脳の機能を解明する手がかりになると考えられている
東北大学は、実際には見ることができない背後の様子を、人間の脳が知覚できるのか確かめる調査を行いました。論文は8日、オープンアクセス科学誌‘Scientific Reports”に掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41598-018-25433-5
研究の結果、人の視覚系が無意識に周囲の環境を学習し、脳内モデルを作り出して、直接見ることができない頭の後ろでも情報処理を行っていることを発見。これは、視野の外にあるものもまるで「見えている」ような視覚能力を人間が持ち合わせていることを示しています。
実験では、被験者を6台のディスプレイで360度周囲を取り囲み、そのディスプレイにランダムに配置された文字からターゲットを探し出す視覚探索を行いました。文字の配置の大半はランダムですが、一部だけ配置パターンを繰り返して反応速度の違いを確かめました。
すると配置パターンを繰り返し用いたとき、探索にかかる時間が短縮されていることが分かりました。しかし被験者は、このことに全く気付いていませんでした。これは、被験者が繰り返される配置パターンを無意識に学習していたことを表しています。
この無意識の学習によって、周囲の環境に対して脳内モデルを作り上げて、自分の360度の周囲環境を知覚することができると考えられています。またこの研究は将来、知覚と運動を繋げる脳の機能の解明につながる可能性があります。
「お風呂場でシャンプーしていると背後に誰かいる気がする」現象も、この研究が解き明かしてくれることを期待したいところです。
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via: 東北大学, INQUISITR / text by ヨッシー
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