喫煙に伴う過剰ながん死亡リスク
喫煙に関する大規模研究では、喫煙習慣を持つ人はそうでない人に比べてがん死亡リスクが3倍高いということが示されています。
さらに、これは喫煙を低い年齢から始めた場合、さらに高まることがわかっています。
最近の研究によると、10歳未満で喫煙習慣を持つようになった人は、成人後のがん死亡リスクが喫煙したことのない人よりも4倍高くなるという結果が出ています。
これは怖い結果ではありますが、では喫煙をやめた場合、こうしたリスクはどの程度改善できるのでしょうか?
今回の新しい研究は、そんな喫煙習慣をやめた場合の影響について調査を行っています。
研究は41万人の米国成人を対象に、長期的な追跡調査を行いました。これは米国で行われた喫煙に関する最大の研究の1つです。
その結果からは、まず上で述べたように、喫煙とそれによるがん死亡リスクの関係が、喫煙を始めた年齢に大きく影響されるを示していました。
喫煙を始めた年齢が10歳未満の人の場合、がんによる死亡率は75%もあり、21歳以上で喫煙を始めた人の場合は、がんによる死亡率は59%でした。
しかし、以下の年齢でそれぞれ喫煙をやめていた場合、がん死亡リスクは次の割合で回避されることが判明したのです。
喫煙をやめた年齢 | がん死亡リスクの低下率 |
15〜34歳 | 100% |
35〜44歳 | 89% |
45〜54歳 | 78% |
55〜64歳 | 56% |
この結果は、継続的な喫煙習慣ががん死亡リスクと大きく関連していることを示しています。
研究著者であるアメリカがん協会のトムソン(Blake Thomson)博士は、次のように述べています。
「どのような年齢であっても喫煙を開始することが、非常に危険であることに変わりはありません。
しかし、若い年齢で禁煙することができれば、継続的な喫煙に関連するがんの死亡リスクのほとんどが回避できると考えられます」
データからは35歳までに喫煙をやめることができれば、がんによる過剰な死亡リスクをほぼ解消できることを示しています。
若いうちに禁煙をすることの重要性を今回の結果は示していますが、ブレイク・トムソン博士は喫煙をやめることに遅すぎることは決してないことを強調しています。
データからも分かる通り、50代から60代の人であっても、禁煙できた場合、過剰ながん死亡リスクは大幅に低下しています。
もちろん喫煙をやめるのが早いに越したことはありません。
研究結果は喫煙を早期に始める重要性を訴えています。
禁煙を広範囲で実現させることができれば、国内のがん患者増加の負担を大幅に軽減できる可能性があります。
今回の研究では、調査期間中に観察対象となっていた1万人の参加者が、がんによって死亡したといいます。
その多くは喫煙者であり(非喫煙者の3倍)、そしてほとんどが肺がんによるものでした。
この研究結果が、禁煙を考えている人の背中を後押しすることになるといいですね。