ダイエットで性欲がなくなる理由も同じ遺伝子のせいかもしれない
今回の研究により、栄養量を検知して成長を調節する遺伝子(メラノコルチン3型受容体)が存在することが示されました。
100年前に比べて私たちの身長が高くなり、思春期が早くなったのは、この遺伝子によって作られる受容体が栄養量の増加を検知し、成長量と成長速度の増加を促していたからです。
また追加の実験で、マウスのメラノコルチン3型受容体を破壊した場合、マウスの性的成熟が遅れることが確認されました。
この結果は、栄養量と成長にかかわる調節システムが、マウスから人間にわたる幅広い動物で共通(保存されている)であることを示します。
さらに通常のマウスは24時間絶食させることでメラノコルチン3型受容体が栄養不足を検知して、生殖周期を停止させる一方で、メラノコルチン3型受容体が破壊されたマウスでは、生殖周期の遅延がみられず、エネルギーバランスにかかわる制御が不全を起こしていることが判明しました。
人間も栄養不足によって生理周期や精子生産が止まり、性欲も弱くなることが知られていますが、同様の仕組みが働いているのかもしれません。
研究者たちは今後、栄養と成長の関係を応用することで、不妊治療や肥満治療、低身長の補正などに役立つ可能性があると考えています。
もしかしたら未来の薬局では「背を伸ばす薬」が胃薬や頭痛薬の隣に並んでいるかもしれませんね。