宇宙空間でも正常に「妊娠」できるのか?
人類は今、宇宙開拓時代に入っており、月面や火星での居住計画も現実味を帯びたものとして進められています。
そのため、人類が宇宙空間に滞在する時間はこれまで以上に長くなっていくでしょう。
しかし宇宙空間は体が浮遊する微小重力環境にありますし、月面や火星にしても地球よりずっと重力が小さいです。
地球を離れる決断をした人々は(SF映画のような重力発生装置が開発されるまでは)そうした微小重力の中で暮らしていかなければなりません。
宇宙滞在が人体に及ぼす影響はすでによく知られています。
例えば、骨密度が減少したり、筋力が低下したり、心血管系に負担がかかったり、免疫系が弱まったり、さらには放射線量が高く、発がんリスクを高める可能性も指摘されています。
また慣れない空間での生活から心理的ストレスを受けて、精神疾患を発症する恐れもあるでしょう。
その一方で、宇宙空間での滞在が妊娠に与える影響はよく知られていません。
これから人類がますます宇宙に進出することを踏まえると、宇宙空間で女性が懐妊するケースも当然ながらあり得ます。
しかし地球とまったく異なる環境下でも、今まで通り正常に妊娠が成立するかどうかはわかりません。
妊娠が正しく成立するには、男性側の精子が女性側の卵子まで泳いでいって受精する必要があります。
ここで研究者たちは「精子の運動機能が微小重力によって悪影響を受けるのではないか」と考えました。
そこでカタルーニャ工科大学の研究チームは、生きた精子を微小重力に晒すという興味深い実験を行うことにしたのです。