シシャモは全長数十キロにおよぶ大群を作る!
今回、大量消失が確認されたのはノルウェー沖に分布する「カラフトシシャモ(学名:Mallotus villosus)」です(以下、シシャモと表記)。
同海域に生息するシシャモたちは毎年2月になると、産卵をするために北極圏からノルウェー沖まで大移動しています。
その数はなんと数十億匹単位(!)というから驚きです。
シシャモたちは大群を形成し、巨大でまとまりのある集団として移動します。
その大群の全長は数十キロにも及ぶことがあり、スイミーも顔負けの長さです。
その一方で、シシャモの大移動にはリスクが伴います。
ノルウェー沖はシシャモの主要な捕食者である「タイセイヨウダラ(学名:Gadus morhua)」の拠点でもあるからです。
タイセイヨウダラ(以下、タラと表記)もシシャモには遠く及びませんが、数百万単位の群れを形成し、シシャモを捕食しています。
しかし研究者たちはこれまで、シシャモの大群とタラの群れがぶつかったときに、どれほどの規模の捕食イベントが発生しているのかを詳しく測定したことがありませんでした。
そこでMITを中心とする研究チームは音響システムを駆使して、シシャモとタラの間でどのような相互作用が起こっているかを調べてみることにしました。