彼氏との性行為で「ナッツアレルギー」を発症?
2007年のある日、当時20歳の女性は突然、顔が赤く腫れ上がり、蕁麻疹が全身に広がって、呼吸困難に陥りました。
直ちに病院へと搬送されましたが、担当した医師はすぐに何が起きているのか見抜きます。
彼女に見られるあらゆる異変が「アレルギー反応」の症状を物語っていたのです。
アレルギー反応は私たちの体に備わっている免疫システムが過剰に働いてしまうことで起こります。
免疫システムの過剰反応は個々人の体質や持病によって異なり、本来は危険のない異物に対して敏感に反応してしまいます。
アレルギーの原因となる物質が「アレルゲン(抗原)」です。
アレルゲンが体内に入ると、体内の免疫システムが異物とみなして排除しようとし、「IgE抗体」という物質を作り出します。
このIgE抗体ができた後に再びアレルゲンが体内に入ると、IgE抗体がそれにくっつき、免疫細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、アレルギー反応が起こるのです。
確かに女性は重度のナッツアレルギーを持っており、以前にもナッツを食べたことで今回とまったく同じ症状を起こしたことがありました。
ただアレルギー持ちであることは彼女自身も当然知っていましたし、それ以来ナッツを食べないよう十分に注意していたのです。
もちろん、アレルギー反応が起こった日もナッツは一切口にしていません。
では一体何が原因でアレルギー反応が起こったのか?
医師が彼女のその日の行動や食べた物を詳しく聞いてみたところ、アレルギー反応を起こす直前に彼氏と性行為をしていたことがわかりました。
「性行為」と「ナッツアレルギー」は一見すると結びつかないように思えますが、聞き込み調査で、彼氏の方が性行為の2〜3時間前にブラジルナッツを食べていたことが明らかになっています。
ただ彼氏の方もパートナーのアレルギー反応には日頃から気を配っており、性行為の前にはちゃんと入浴して歯を磨き、爪もきれいに掃除していたというのです。
つまり、口内や手指に付着していたナッツが肉体的接触を介して、彼女の体内に混入した可能性は考えられません。
ところが医師たちの調査により、あるルートを通じてナッツのアレルゲンが彼女の方に移動していたことが特定されたのです。