Credit:ナゾロジー編集部,OpenAI
psychology

「間違いを認めない心理」を終末予言を外したカルト教団に潜入して暴いた心理学者

2025.05.17 12:00:30 Saturday

たち時に、明らか誤り証明なお、それ認め続ける出会います。

ビジネス現場判断ミスや、恋愛人間関係執着、ギャンブル投資の「こそ取り返せる」という思い込みなど、日常同じ心理陥ることあります。

SNS上の陰謀論者や、不祥事を起こした人物の強烈なファンなども、その一例でしょう。

こうした行動背景は「自分選択ってた」認めること強い抵抗感があります

この「失敗認めない心理」科学そうした研究70年前われした。

心理学者レオン・フェスティンガーは、人間どのようにし自分誤り否定し、信念ろうとする解き明かすため、予言を外したカルト教団大胆潜入調査を実行し、信者たちの行動を観察したのです

この研究やがて「認知協和理論」という画期的心理理論誕生つながることになります。

When Prophecy Fails Click to access Festinger-Riecken-Schachter-When-Prophecy-Fails-1956.pdf https://ia802802.us.archive.org/4/items/pdfy-eDNpDzTy_dR1b0iB/Festinger-Riecken-Schachter-When-Prophecy-Fails-1956.pdf
The effect of severity of initiation on liking for a group. https://psycnet.apa.org/doi/10.1037/h0047195 When Prophecy Fails and Faith Persists: A Theoretical Overview https://doi.org/10.1525/nr.1999.3.1.60

カルト教団潜入した心理学者壮絶フィールドワーク

Credit:OpenAI

1953年、アメリカ・シカゴ郊外に「The Seekers(探索たち)というUFO信仰の小さな宗教団体現れました

その中心にいたのがドロシー・マーティン(Dorothy Martin:論文内では仮名マリアン・キーチと表記)、という女性です。

マーティン平凡主婦したが、当時流行ていオカルト思想傾倒自分は宇宙高次存在(クラリオン宇宙人)からテレパシー通信受けっている信じるようなり19541221世界洪水び、自分たち信者だけが迎えに来たUFOによってわれるという終末予言打ち出したのです。

この異様教団関心心理学者レオン・フェスティンガーです。

フェスティンガーは大きな失敗に直面したときの人間心理として、「自分って証明たても簡単に誤りを認めず、むしろ信念強化する」という理論を考えていました。

ただ、この失敗認めない心理メカニズム科学検証するためには実際信念現実の巨大な矛盾直面した人々行動観察する「ケーススタディ」を見つける必要がありました

そのためThe Seekersは、彼にとって絶好の観察対象となったのです。

The Seekersの信者たちは、年末に世界が滅ぶという予言を信じ、仕事をやめ、財産を投げ売ってこの教団に参加していました。これは重大な人生選択の誤りです。

そのためフェスティンガーは、このカルト集団の「終末予言が外れたときに信者たちがどうするのか」を観察することで、自分の理論を証明しようと考えました。

普通に考えると、教団の唱える終末の予言が外れた場合、信者たちは騙されていたということに気づいて、教団から離反したり、反乱を起こすように思えます。

実際、そんな展開は漫画や映画では割と見かける場面です。

しかし、心理学者であるフェスティンガーは先にも述べた通り、自身の理論に従い「人は誤りが証明されても、それを認めることが出来ずに固執するだろう」という予測を立てていました。

そのため彼は一見非合理に思えるが、信者たちは予言が外れた場合、むしろ信仰心め、布教活動熱心なるだろうと考えていたのです

そしてこの観察のために、フェスティンガーたち前例ない驚きの研究計画実行に移しました。

なんとフェスティンガーの研究チームは、研究者を実際この教団に入信させ、内部から彼らを観察したのです。

そのため1人の研究者は「メキシコ老婆出会い、啓示受けた」というストーリーをでっちあげ、別の研究者は「洪水からわれる予知た」と言ってThe Seekersにコンタクトを取りました

こうして彼らはカルト集団潜入を果たし、昼夜を問わず、信者たちの動きや発言、心理状態を詳細に記録したのです

これは社会心理実地観察として前例ないほど過酷かつ挑戦フィールドワーク学問残る研究となります。

次ページ心理のトラップ──認知的不協和と努力の正当化

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