Credit:ナゾロジー編集部,OpenAI
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「間違いを認めない心理」を終末予言を外したカルト教団に潜入して暴いた心理学者 (3/3)

2025.05.17 12:00:30 Saturday

前ページ心理のトラップ──認知的不協和と努力の正当化

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現代ネット社会にも通じる心理──アンチの存在信者結束強める

この研究は現代では主流の心理学研究の多くが発表前だった70年前のものです。

そのため、当時認知協和理論枠組みのみでこの現象が説明したが、現在ではフェスティンガーのこの興味深い観察報告についてより多層解釈可能ってます。

まず注目いる社会アイデンティティ理論(Social Identity Theory)です。これ1970年代イギリス社会心理学者ヘンリー・タジフェルによって提唱した。

この理論ば、は「自分どの集団いるか」によって自己評価行動決める傾向あり、無意識うちに周囲の人達を集団(ingroup、自分たち仲間)」と「集団(outgroup、その他の人間)」分け、集団に対して強い忠誠連帯持つようなります。

The Seekersでも、外部嘲笑否定報道によって「信者対「大衆という対立構造強化れ、信者たち仲間意識信仰むしろまっていたと考えられます

また行動経済におけるサンクコスト効果(Sunk Cost Effect)も関連すると考えられています

これは「すでにした労力お金、時間無駄したない」という心理から、状況って行動なくなる現象です。(この現象は、音速旅客機コンコルドの開発が典型例として紹介されるため、一般にはコンコルド効果という名で知られています)

The Seekers信者たちも、すでに仕事財産、家族人間関係犠牲してきことから、「ここ信仰やめるわけいかない」という心理考えます。

さらに心理心理的リアクタンス(psychological reactance)から解釈することもできます

これ1960年代ジャック・ブレームによって提唱もので、自分自由選択肢われる反発するという心理傾向指します。

この現象は、ネット上では「カリギュラ効果」という呼び名で有名です。これは「カリギュラ」という映画が、過激内容により公開禁止になった途端人々の関心を大きく集めてしまったという出来事からメディアが作った用語です。(カリギュラ効果は学術用語ではなく、主にコンテンツ規制に対して使われる俗称)

「心理的リアクタンス」はもっと広範な現象を扱っており、反抗期や、The Seekersの信者たちの行動に対しても適用されます。

この文脈では周囲から「やめろ」「っている」否定れることで、信者たちはその反発から自分たち正しい」という確信強めてしまったと考えられるのです

このようにThe Seekers事例は、当時認知協和のみ説明したが、現在では社会アイデンティティ理論、サンクコスト効果、リアタンス理論など複数理論組み合わせることより包括理解ています。

SNS社会ではカリスマインフルエンサーアイドルをめぐるファンアンチ対立同様心理構造ます。

Credit:canva

そう考えると、The Seekers研究は、70年前すでにネット社会における人間行動のパターン先取りてい言えるかもしれません

カルト教団への潜入調査という型破り手法と、人間心理根源先駆研究。

フェスティンガーたちの『When Prophecy Fails(予言が外れるとき)』という研究は、なぜ「間違い認め続けるか」という普遍疑問答え提示しました。

間違いは誰にでも起きるものです。重要なことは早期にその間違いを認め改善点を見つけ出すことです。

しかし、間違いを認めない限り、その問題は永遠に解決されません。人が失敗を認めない心理を理解することは、問題解決を早める最も重要な知識となるでしょう。

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「間違いを認めない心理」を終末予言を外したカルト教団に潜入して暴いた心理学者 (3/3)のコメント

a

まるでコロナに罹っても重症化しなかったみたいな話ですね、さて真実はどっちだ

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