画像
インドネシアのモルッカ諸島沖で生きたシーラカンスが撮影される / Credit:Alexis Chappuis(UNSEEN)et al., Scientific Reports(2025)
paleontology

”生きた”シーラカンスの撮影に成功!インドネシアの水深144mで優雅に泳いでいた

2025.05.22 11:30:54 Thursday

もし、あなたのすぐ足元の海の奥底に、4億年もの間ほとんど姿を変えずに生き続けている“恐竜以前の魚”が今も静かに暮らしているとしたら、信じられるでしょうか?

2024年10月、インドネシア・モルッカ諸島沖にて、フランスの海洋探査団体「Unseen Expeditions」のダイバーが、水深144メートルという極めて深い海で、野生のシーラカンスを目撃

自然環境下で直接撮影することに成功しました。

この発見により、これまでの生息域や行動パターンに関する定説が見直され、生態研究に新たな視点がもたらされることになりました。

この研究成果は、2025年4月23日付の科学雑誌『Scientific Reports』に掲載されました。

First record of a living coelacanth from North Maluku, Indonesia https://doi.org/10.1038/s41598-025-90287-7

現存する「生きた化石」シーラカンスは2種

画像
Latimeria chalumna。ウィーン自然史博物館に収蔵されている保存標本 / Credit:Wikipedia Commons

シーラカンスは「生きた化石」の代名詞とも言える魚です。

化石記録によれば、デボン紀(約4億年前)に出現し、約6650万年前の大量絶滅を境に、ほとんどの種が絶滅しました。

しかし、その一部は生き残り、今日まで姿をとどめています。

かつてはすべて絶滅したと考えられていましたが、1938年に南アフリカ・チャルムナ川沖で偶然捕獲された「ラティメリア・カルムナエ(学名:Latimeria chalumnae)」の発見が、科学界に衝撃を与えました。

この魚はシーラカンスの仲間だったのです。

画像
シーラカンスの一種。Latimeria chalumnae / Credit:Wikipedia Commons

さらに1997年には、インドネシア・スラウェシ島近海で第2の現存種「ラティメリア・メナドエンシス(学名:Latimeria menadoensis)」も確認され、これがいわゆる「インドネシア・シーラカンス」です。

この2種はいずれもIUCNのレッドリストにおいて絶滅危惧種に分類されています。

とはいえ、これらの魚は極めて深い海域(水深200~700mと考えられてきた)に生息し、観察は容易ではありません。

そのため、これまでの研究は主に遠隔操作の無人探査機などに頼ってきました。

そんな中でのインドネシア・シーラカンスの自然環境下におけるダイバーによる直接観察は、まさに前例のない快挙でした

人類が自らの目で深海の「生きた化石」を捉えた瞬間だったのです。

では、いったいどのようにして、この“奇跡の出会い”は実現したのでしょうか?

次ページインドネシアのモルッカ諸島の水深144mで「インドネシア・シーラカンス」の直接撮影に成功

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

古生物のニュースpaleontology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!