中国で、届いた商品の写真をAIで加工し、粗悪品として返金を求める詐欺が横行
今回問題になっている詐欺の最大の特徴は、商品そのものではなく、「証拠写真」が偽造されている点にあります。
実際には問題のない商品を撮影し、その画像にAI処理を加えることで、「不良品・粗悪品が届いた」ように見せかけるのです。
たとえば、届いたばかりの果物の写真を撮影し、AIに指示してカビが生えているように加工するケースが報告されています。
新品の電動歯ブラシを、金属部分が錆びているように見せる画像をAIで生成した例もあります。
また、ワンピースの襟元がほつれているような写真や、割れていない陶器のマグカップにヒビを加えた画像も確認されています。
これらはいずれも、実際に起きていても不思議ではない問題を自然に再現している点が共通しています。
そのため、一見しただけでは本物との区別が難しく、出品者側が不正を証明するのは容易ではありません。
こうした詐欺が広がった背景には、中国のネット通販で広く利用されてきた「返品不要・返金のみ」の制度があります。
中国のECプラットフォームでは、商品に問題があると主張された場合、写真や動画を証拠として提出すれば、商品を返送しなくても返金が認められる仕組みが活用されていました。
この制度は、購入者の利便性を高め、トラブルを迅速に解決する目的で導入されてきました。
しかし、証拠が画像だけで成立するという条件は、AI技術の発達によって大きな弱点となったのです。
写真を偽造できてしまえば、実際に商品を受け取りつつ、不正な返金請求が成立してしまうからです。
さらに中国のECでは以前から、安価な商品を購入し、些細な欠点を理由に返金だけを要求する常習者が存在していました。
こうした人々は俗に「羊毛党」と呼ばれており、AIはこの行為をより簡単に、より巧妙に、より大量に行えるようにしてしまいました。
その結果、特に果物店などの小さなショップから、同様の被害を訴える声が相次いでいるのです。
では、AI時代に特有のこの問題にどうやって対処できるでしょうか。

























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