”母乳が良い”理由は、DNAメチル化の違いにあったかも
母乳が赤ちゃんにとって良いという話は、これまでも数多く報告されてきました。
呼吸器や代謝疾患、認知発達、免疫の働きなどとの関連が指摘されてきましたが、ここで一つ疑問が残ります。
なぜ母乳は体に良いのか、という点です。
その理由としてよく挙げられるのは、栄養のバランスや、母乳に含まれる免疫物質です。
ただ近年は、もう一つの可能性としてエピジェネティクスが注目されています。
エピジェネティクスとは、DNAの配列そのものを変えるのではなく、どの遺伝子をどれくらい働かせるかを調整する仕組みです。
今回の研究で調べられたのは、その代表例であるDNAメチル化でした。
これは、DNAの特定の場所に化学的な印が付く現象で、遺伝子の働きを弱めたり調整したりする方向に関わることが多いと考えられています。
設計図そのものを書き換えるのではなく、設計図の一部に「ここは強めに読む」「ここは控えめに読む」といった目印が付くようなイメージです。
研究チームは、国際共同研究ネットワークであるPACEコンソーシアムのデータを使い、11コホート、計3421人の子どもを解析しました。
子どもたちの血液は5〜12歳の時点で採取され、そこでDNAメチル化の状態が調べられました。
さらに、出生時のさい帯血(へその緒と胎盤に含まれる血液)も比較に使われています。
これは、生まれつきの差ではなく、出生後の経験に関連した変化なのかを確かめるためです。
研究では、母乳育児をかなり細かく見分けています。
単に「母乳を飲んだことがあるかどうか」だけでなく、どれくらいの期間続いたか、さらに母乳だけで育てる完全母乳育児がどれくらい続いたかまで調べました。
その結果、単に「母乳を飲んだ経験があるかどうか」では、はっきりした差は見つかりませんでした。
一方で、完全母乳育児の長さを見ると差が現れ、とくに3か月を超えて完全母乳で育った子どもでは、DNAメチル化に違いが見つかりました。
しかも、その違いは出生時のさい帯血には見られませんでした。
つまり、生まれたときから備わっていた差というより、出生後の栄養環境と関連して現れた可能性が高いのです。
では、具体的にどこにどのような違いが見つかったのでしょうか。




























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