なぜ金星には衛星がないのか?

夜空を見上げれば、そこには月。
地球に住む私たちにとっては、当たり前の光景です。
ところが太陽系を見渡すと、水星と金星には衛星が1つもありません。
とりわけ不思議なのが金星です。
金星は大きさも重さも地球とほぼ同じで、「地球の双子」とも呼ばれます。
それなのに、太陽のまわりを回る向きとは逆向きに243日もかけてゆっくり自転し、衛星を1つも持っていないのです。
金星に衛星がない理由として、これまで主に2つの考えが語られてきました。
1つは、金星がそもそも衛星を生むような大衝突を経験しなかったという考えです。
地球の月は、若い地球に大きな天体がぶつかり、飛び散った破片が集まって生まれたと考えられています。
その大衝突が、金星には起きなかったのかもしれないというわけです。
もう1つは、金星にもいったん衛星ができたものの、あとから別の天体がぶつかって衛星を壊してしまったという考えです。
衛星は生まれなかったか、何かに壊されたか。
どちらも筋の通った説明です。
しかし衛星には、もう1つの最期があります。
ほかの天体にぶつけられることもなく、自分の惑星に引きずり寄せられて落ちていく、という最期です。
UCRの天体物理学者で筆頭著者のスティーブン・ケイン氏と、フランスのボルドー大学の研究者らのチームは、この3つ目の道を確かめることにしました。
金星に大衝突で衛星ができたとしたら、その衛星は今日まで生き残れたのか。
衛星の重さや金星の回転の速さを幅広く変えながら、これを体系的に計算した例はまだなかったのです。





























