本格的な惑星防衛テスト
地球に小惑星が落下するというテーマのSF映画は数多く存在しています。
しかし、現実に危険な小惑星が地球へ迫っていた場合、人類はどうやって地球を防衛すればいいのでしょうか?
現在NASAなどが中心となって考案されている現実的な惑星防衛プランの1つは、小惑星に探査機を体当りさせて、地球落下コースからずらすというものです。
しかし、実際小惑星の軌道は、そんな簡単に変更できるものなのでしょうか?
そこでNASAはこのプランがどの程度有効か確認するため、実際に適当な小惑星に探査機をぶつけるDARTミッションを計画したのです。
これまで、そんなミッションの概要がたびたび伝えられていましたが、とうとう11月24日にこのDART探査機の打ち上げが実施されます。
現在DART探査機はSpaceXのFalcon 9ロケットに搭載が完了していて、打ち上げ準備に入っています。
DART探査機が体当りする目標となるのは、1996年に発見された「二重小惑星ディディモス(ギリシア語で「双子」)」です。
二重小惑星というのは、大きな小惑星の周りを月のように小さな小惑星が回っている天体です。
二重小惑星の月に当たる小惑星をムーンレットと呼び、ディディモスでは直径780メートルの主小惑星の周りを、直径約160メートルのムーンレット「ディモーフォス」が周回しています。
DART探査機はこの小さい小惑星「ディモーフォス」をターゲットにしています。
「ディモーフォス」という名前は、ギリシア語で「2つの形を持つ」という意味があり、DART探査機をぶつけることで、人類の介入によって初めて発見時とは異なる形(軌道)になる小惑星ということから名付けられています。
地球から「二重小惑星ディディモス」まで約700万キロメートルの旅を経て、最終的にDART探査機は時速2万4000キロメートルの速度で「ディモーフォス」に体当りし、二重小惑星の系内でその衛星軌道を変更させる予定です。
現在、140メートル以上のサイズがあり100年以内に地球へ衝突する可能性のある小惑星は発見されていませんが、見つかっている小惑星は全体の40%程度と考えられています。
この計画は、いつか来るかもしれない人類の危機に対する切り札になるのでしょうか?
DART探査機がディディモスへ到達するのは2022年の秋頃となる予定です。