丸いマリモがいるのは「世界で2ヵ所」だけ!
マリモ(学名:Aegagropila linnaei)は、淡水生の緑藻の一種であり、北半球に広く分布します。
一方で、よく知られている丸いマリモは、北海道の阿寒湖とアイスランドのミーヴァトン湖の2ヵ所にしか存在しません。
残りは、水中を浮遊したり、岩壁に固着する糸状のものがほとんど。
直径が10センチ以上に達する大型マリモが見られるのも、阿寒湖とミーヴァトン湖のみです。
ところが、ミーヴァトン湖では2013年に、湖の富栄養化が原因で多くのマリモが消失してしまいました。
富栄養化とは、ある水域の栄養状態が豊富になることで、一見して良い現象にも思えます。
しかし、池や湖、港湾内といった停滞水域では、光合成がストップする夜間に、生物の呼吸による酸素消費が急増するため、水中が酸欠状態となってしまうのです。
阿寒湖も、20世紀前半からつづく森林伐採や土地開発、周辺の観光地化にともない環境が変化して、土砂流入や湖水面低下、富栄養化が起こるようになりました。
そのせいで、かつては4ヵ所あったマリモの群生地は、2ヵ所にまで減っています。
阿寒湖のマリモは、長さ3センチほどの糸状の藻が集まり、回転しながら表面で光合成を行うことで、大きな球体に成長していきます。
しかし、成長速度や栄養供給のメカニズムなど、物理的要因にもとづいたマリモの形成プロセスはよく分かっていませんでした。
そこで研究チームは、マリモ内部の構造や機能を明らかにするべく、調査を開始しました。