乳児は「アニメが現実世界の干渉を受けない」と理解している
4番目の実験では、これまでとは異なり、2つのディスプレイが並べられました。
片方の画面には、クマが家に入ったり出たりするアニメが映し出されました。
もう一方では、ウサギが同じようにしています。
2つ画面で家の描写は全く同じですが、それぞれ背景が大きく異なっています。
そして幼児がそれぞれの動物がどちらの画面に映っているか覚えたことを確認した後、2つのディスプレイの位置を物理的に移動させました。
その際スクリーンにはカバーがかけられ、アニメの背景も交換されます。
幼児たちには、カバーを開けた後に、動物がそれぞれどこに住んでいるか答えてもらいました。
ちなみにこの時、動物のキャラクターは画面に映っていません。
その結果、幼児たちはアニメのキャラクターの住まいを物理的な環境ではなく、仮想的な環境に結び付ける傾向がありました。
つまり、キャラクターをディスプレイの位置ではなく、アニメの背景と関連させていたのです。
もし幼児が現実世界とアニメ世界を混同しているなら、ディスプレイの移動や背景の交換に惑わされていたはずです。
ところが実際はそうならず、幼児たちは正しく判断できました。
さて一連の実験から、幼児は生後19カ月の時点で、アニメと現実を確かに区別していると分かります。
これは幼児が成長途上にあっても高い認知能力をもつことの証拠だと言えます。
できるなら、大人になってもアニメと現実はしっかりと区別したままでいたいですね。