インドガビアルはずっと鼻づまりに悩まされていた
研究チームは、フォートワース動物園で飼育されているインドガビアルの頭部を医療用の機器で分析したときに、彼らが人間と同じ鼻トラブルを抱えていることを偶然発見しました。
インドガビアルの鼻中隔も湾曲していたのです。
しかもインドガビアルの鼻の穴は細長いため、鼻中隔の歪みが生じる範囲は広く、より複雑になっていました。
そしてチームは、インドガビアルたちの鼻中隔湾曲症が呼吸にどんな影響を与えるか調査することにしました。
そのためにアメリカの動物園で飼育されている他のインドガビアルのサンプルを収集。
分析の結果、人間と同じように鼻中隔湾曲症の程度には個体差があると判明しました。
そしてサンプルの中でも最も鼻中隔の湾曲が強かったのは、「ルイーズ」という愛称の個体だったようです。
チームは、「ルイーズはかなり呼吸しづらい状態にあり、毎回強い力で鼻呼吸していた」と推測しています。
また、そのような強い鼻呼吸と湾曲による歪みによって鼻の内側が強くひっぱられ、鼻血も出やすかったと考えられます。
このような慢性的な鼻詰まりを、強い呼吸によって解消しようとした場合、鼻の内部を傷つけて深刻な健康問題に発展する恐れがあります。
しかし、ルイーズは特に問題もなく50歳まで生きることができました。
その理由をチームは次のように説明しています。
「これはワニの回復力のおかげです。
人間が同レベルの症状を抱えると手術が必要になりますが、ワニはその回復力で生き続けることが可能なのです」
さて、現代生息している他のワニ種は、鼻の穴が広かったり、鼻中隔が非常に分厚かったりするため、インドガビアルのようなトラブルは抱えていません。
しかし、過去にはパラサウロロフスのように鼻と口が前に突き出た恐竜や、チャンプソサウルスのようにワニに似た爬虫類が存在していました。
もしかしたら彼らも、私たちと同じ鼻づまりに悩まされていたかもしれませんね。