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ウーパールーパーが陸生への「変態能力」を手に入れてしまった裏話

2021.12.11 Saturday

「アホロートル」という生物をご存知でしょうか?

アホロートル (Axolotl)とは、アステカ文明で使われたナワトル語の「水」と「犬」を組み合わせたもの。

メキシコ原産の両生類の仲間で、一般には、メキシコサンショウウオ(学名:Ambystoma mexicanum)の名で通っています。

メキシコサンショウウオ、つまり、ウーパールーパーのことです。

ここでは「アホロートル」と呼ぶことにしますが、彼らには稀に、水生から陸生に変態する現象が起きます。

アホロートルは元々、水中で一生を過ごす生物だったのですが、ある出来事がきっかけで「変態」の能力を獲得してしまったのです。

そこで今回は、ペットとしても人気なアホロートルについて、変態を手に入れるに至った裏話も含め、紹介していきます。

Aquatic Axolotls Can Spontaneously Turn Into Air-Breathing Axolotl Morphs https://www.iflscience.com/plants-and-animals/aquatic-axolotls-can-spontaneously-turn-into-airbreathing-axolotl-morphs/

死ぬまで「幼い姿」のまま

アホロートル(メキシコサンショウウオ)
アホロートル(メキシコサンショウウオ) / Credit: ja.wikipedia

野生のアホロートルは、メキシコの首都メキシコシティ内にあるソチミルコ湖と、その周辺にしか分布していません。

絶滅危惧種にも指定されており、種の保護管理が厳しく進められています。

首の左右に大きな外エラが3本ずつ生えているのが最大の特徴です。

寿命がかなり長く、平均して10年、長ければ15年、最長で25年生きられます。

産卵によって繁殖し、11月から翌年の1月の間に、一度で200〜1000個の卵を水草に産みつけます。

野生個体では、体色が黒や茶褐色、紫色のものがほとんどです。

ただ、ペットとして人気なのは、体が真っ白で、目の玉が黒い個体で、ウーパールーパーといえば、普通こちらを想像しますね。

これはリューシスティック(白変種)と呼ばれ、色素の減少により体が白色化した個体です。

(ちなみに、アルビノとは全く別物で、リューシスティックは色素の生産能力は製造であるのに対し、アルビノは遺伝的欠陥でメラニンが元から生成できません)

リューシスティック個体、ウーパールーパーと言われて想像するのはこっち
リューシスティック個体、ウーパールーパーと言われて想像するのはこっち / Credit: ja.wikipedia

成熟すると全長10センチから大きくて25センチになりますが、一方で、アホロートルは幼形成熟(ネオテニー)であり、原則として、大人になっても幼いままの姿を保ち続けます。

それでも性成熟はしているので、繁殖は可能です。彼らは変態しないので、死ぬまで水中から出ることはありません。

ところが、あることがきっかけで、一部のアホロートルは、変態の能力を手に入れてしまったのです。

それを次に見ていきましょう。

次ページなぜ「変態能力」を手に入れてしまったのか

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