若い太陽から観測された「スーパーフレア」
「りゅう座EK星」は、年齢がわずか1億歳の若い恒星で、今から約45億年前の、地球が形成されたばかりのころの太陽によく似た星だと言われています。
この星の監視を行っていた研究グループは、2020年4月に、幸運にも「スーパーフレア」が発生するのを観測することに成功します。
フレアの観測から30分後、チームは星の表面から離れて飛ぶ、コロナ質量放出を観測しています。
この観測データからは、フレアに伴って巨大なフィラメント(温度約1万度のプラズマ)が噴出していたことが明らかとなり、このフィラメントの質量は、これまで太陽で観測された史上最大級の質量放出の10倍以上の規模だったことが判明しました。
ここで放出されたコロナは秒速500キロメートルもの速度で吹き飛ばされていました。
若い太陽型星から、こうした強力なスーパーフレアが観測されるという事実は、私たちの地球が形成された時期にも同じような現象が見られた可能性を示すものです。
それは、地球や火星が現在の姿になるために、大きな影響を与えた可能性があり、過去の地球で何が起きていたかを理解するために役立つ可能性があります。
また、こうしたスーパーフレアは、私たちの太陽でも今後発生する可能性があります。
ただ、若い太陽に見られるほど頻繁に起きる可能性は低いだろうと考えられていて、起きたとしてもそれは数千年に1度という頻度になるでしょう。
もちろんそれが明日である可能性も十分考えられるでしょうが、こうした現象の詳細を研究していくことで、将来起きる可能性のある宇宙の大災害に備えることができます。
生きているうちに、間近で見たくはない天体現象です。