めっちゃリアルな表情をするアンドロイドを開発!
SFの描く未来に登場する人型ロボットは大きく2種類にわけられます。
1つは手足の金属パーツをむき出しにし、顔も仮面のようにノッペリとした「まさにロボット」という外観のもの。
そしてもう1つは、限りなく人間に外観を模倣する「ヒトの顔を持つロボット」です。
人間社会に溶け込むには、後者のヒトに近い外観のロボットが有利ですが、開発は難航していました。
人間の顔には30種類以上の表情筋が存在することで自然な表情を作り出しています。
しかしロボットで同じことを実現するには「顔面」という限られたスペースに、無数の可動部品を組み込み、それらを同時に動かす必要がありました。
加えて、人間は「表情」に敏感な生き物であるため、少しでも不自然な動きがあれば不気味さや恐怖を感じてしまいます。
そのため中途半端に人間に近い顔を持つロボットは好感度が著しく低下するという「不気味の谷」現象が生じます。
そこで今回Engineered Artsの研究者たちは「不気味の谷」の底から抜け出す新しいロボットを開発しました。
「Adran」と名付けられた新型ロボットの顔面には人間の表情筋数の3分の2にあたる22個の可動部品が組み込まれており、膨大な範囲の感情の模倣が可能になりました。
またモデルとなった人間の顔を3Dプリントで再現することで、お面やマスクとは違った、全方位の再現が行われています。
そのため人々の違和感は「Adran」の表情ではなく「Adran」が生首状態であることに向けられているようです。
このような人々の反応は「Adran」が「不気味の谷」を抜け出しつつあることを示すのかもしれません。
さらに「Adran」の全てのパーツはカスタマイズ可能であり、あらゆる顔に対応することが可能、とのこと。
なおEngineered Artsは以前にも「Ameca」と名付けられた、顔に加えて上半身も再現したロボットも開発しています。
デモンストレーションでは「Ameca」は自分の手や腕をみて驚くような仕草をする様子が含まれており、こちらも非常に興味深い内容となっています。
現在、「Adran」や「Ameca」には表情や身体の動きを模倣する以外の機能はありません。
しかし将来的に、自ら考え判断できる高度なAIに、感情を模倣する機能が加わったとしたら、私たちはそれを心と呼ぶべきなの…今からでも考えておいたほうがいいかもしれません。