隕石のサイズと関連しない大量絶滅
地球の大量絶滅は、「ビッグ5」と呼ばれる過去5回発生している大規模なものが有名ですが、実際のところ規模に差はあるものの、もっとたくさん発生しています。
そして、その多くには、小惑星の地球衝突が関連しているのです。
有名な大量絶滅は、恐竜を滅ぼしたというK-Pg境界(地質学的な年代分類)に見られるものです。
この大量絶滅は、「チクシュループ衝突体」と呼ばれる、直径約10kmを超える巨大隕石が落下したことで引き起こされたと推定されています。
こうした話を聞くと、巨大な隕石が落ちれば大規模な大量絶滅が発生する、という気がしてきます。
ところが、地質学的な調査によると、必ずしもそうではないことがわかるのです。
今回の研究では、過去6億年間に発生した44個の隕石落下について分析を行っています。
下の図は、発見されたクレーターサイズから推定される落下隕石の規模と、絶滅強度を比較したグラフです。
分析された隕石の中で、大量絶滅に関連したと考えられるものは15個確認されました。
その中でも、史上4番目に巨大な隕石だったと考えられる直径48kmのクレーターでは、とくに大量絶滅の発生と関連していませんでした。
ところが、それより半分程度のサイズしかなかった約500万年前に落下した隕石は、高い強度の大量絶滅を引き起こしていたのです。
こうした事実は、以前から判明していたもので、研究者たちは何十年もの間、「なぜ小さな隕石でも大量絶滅が起きているのに、より大きな隕石の落下で大量絶滅が起きない場合があるのか?」その理由に悩んでいたのです。
そこで、今回の研究チームは、過去に起きた44回の隕石衝突で放たれた塵を分析してみることにしました。
すると、驚くべき事がわかったのです。
それは大量絶滅が、隕石のサイズではなく、隕石が巻き上げた塵の成分に関連しているという事実でした。