ネコとイヌを比較した研究は少ない
「ネコとイヌの賢さを比較する」と言っても、知能に該当する能力は様々であり、一様に数値化して比較できるわけではありません。
アメリカ・メイン州のユニティカレッジ(Unity College)に所属する動物行動学者クリスティン・ヴィタール氏によると、動物の知能は通常、問題解決能力、概念形成(ある経験から一般概念を形成する能力)、社会的知能の3つに分類できるそうです。
そしてヴィタール氏は主にネコの社会的知能を研究しており、「その能力の高さはしばしばイヌと同レベル」だと語っています。
実際、2017年の研究により、ネコは食べ物やおもちゃよりも人間との交友を好むと判明しています。
また2019年の研究では、人がネコに関心を向けると、ネコはその人とより多くの時間を過ごそうとすることが分かっています。
ネコもイヌのように高い社交性をもっているのです。
さらに2005年の研究では、人間が与えるヒントを頼りに隠された食べ物を見つける能力が調査・比較されました。
その結果、ネコとイヌの能力に大きな違いはなかったようです。
さて、こうした能力の違い以外にも、脳の大きさから知能を比較できるかもしれません。
2014年の研究では、認知特性の1つである自制心がさまざまな動物で比較されました。
その結果、動物の脳が大きければ大きいほど、より強い自制心を示せると判明。
つまり脳の大きさも知能を比較するうえで1つの指標となるわけです。
とはいえ、この実験にはネコが含まれておらず、イヌとネコの知能の比較に関しては推測の域を出ません。
さて、これらの研究からすると、一部の人は「ネコとイヌは同じくらいか、ややイヌの方が賢いのかもしれない」と考えるかもしれません。
しかしほとんどの人は、「これらの結果だけでは、知能に優劣をつけることはできない」と感じるでしょう。
それもそのはずで、そもそもネコとイヌを比較した研究は非常に少ないのです。
ではなぜ、世界の2大ペット種を比較する研究が少ないのでしょうか?
その理由は、ホロウィッツ氏の言葉に集約されるでしょう。次項で紹介します。