長期宇宙旅行の課題
人間が生きていくには、「資源の循環」が欠かせません。
人間は食物を食べて排泄したり、酸素を吸って二酸化炭素を吐いたりします。
地球の環境システムは、そんな人間の廃棄物をリサイクルして、再び「消費できるもの」に変換してくれています。
しかし当然のことながら、宇宙空間では地球のリサイクルシステムの恩恵が受けられません。
長期宇宙旅行では、人工的なリサイクルシステムが必要になるのです。
さらに宇宙では廃棄物の処理の仕方にも注意を払わなければいけません。
例えば昔のジェミニ宇宙船では、トイレの吸引機や大便バッグにトラブルが生じたため、船内に排泄物が漏れ出しました。
宇宙飛行士たちは、「トイレの中で1週間を過ごしたような気分」を味わったと言われています。
もちろん現在の宇宙トイレではそんなこともなく、尿も飲料水として再利用されています。
しかし将来の火星ミッションは、地表での滞在も含め2~3年かかり、宇宙空間を航行する移動期間も9カ月に及ぶと考えられています。
そのためNASAは、さらに効率化されたリサイクルシステムや快適なトイレを生み出さなければいけません。
そして今回、世界中の人に賞金付きでアイデアを募集する「Waste to Base Challenge」というキャンペーンを開始しました。