世界初の核融合炉は「地上の太陽」となる
核融合は、星の中心で起こる反応と同じで、化石燃料よりもはるかに膨大なエネルギーを生み出します。
現在進行中のイーター・プロジェクト(ITER、国際熱核融合実験炉)の専門家によると、パイナップル大の水素原子の集まりから、およそ1万トンの石炭に匹敵するエネルギーを提供できるという。
JETによる今回の実験は、”世界初の核融合炉”を目指すITERへの道筋をつける目的があります。
1983年に運転を開始したJETは、水素の同位体である重水素とトリチウム(三重水素)を燃料としています。
通常の水素原子は中性子を持っていませんが、重水素原子では1個、トリチウム原子は2個の中性子を持っています。
現在、重水素-トリチウムの燃料で稼働する施設は世界で唯一であり、ITERも重水素-トリチウム燃料を使用する予定です。
これに対し、原子力発電所は、ウランやプルトニウムなど「重い」原子を核分裂させて、エネルギーに変えています。
水素やヘリウムなど「軽い」原子による核融合は、太陽や星の中心で起こるものと同じであり、核融合炉はまさに”地上の太陽”と呼べるのです。
これまでの研究で、核融合に利用できるすべての燃料の中で、重水素とトリチウムの組み合わせが最も簡単に、最も低い温度で核融合できると分かっています。
重水素-トリチウムだけが、現実に達成可能な条件下で、余剰電力を生み出すのに十分なエネルギーを放出すると予測されているのです。