構造が裏返しの星の秘密
通常の構成は核融合によって輝いていますが、その燃料は宇宙にもっともありふれた軽い元素の水素です。
水素の核融合によりヘリウムが作られることで、恒星の内部には徐々にヘリウムの核が作られていきます。
重い星の場合、さらに核融合が進み、そこから酸素や炭素などの重い元素が融合されていきます。
そのため、通常星では表面に水素やヘリウムの軽い元素があり、中心部のコアに酸素や炭素の重い元素が存在する玉ねぎのような状態となります。
しかし、今回発見された星は、まるでこの構造が裏返ったかのように、星の表面に炭素や酸素の重い元素があり、中心部にヘリウムのコアがある状態だったというのです。
なんとも不思議な星が観測から発見されましたが、別の大学の研究チームがこの不思議な構造の星の由来に関する分析を、同時に発表したのです。
アルゼンチンのラプラタ大学から発表されたその研究によると、この星はもともと白色矮星の連星であり、二つの星の接近により、片方の星がコアを含めて潮汐力によって破壊され、連星のもう片方に吸い取られたことで生まれたといういうのです。
こうして、本来コアにあるはずの酸素や炭素が表面を覆い、コアはヘリウムという、特殊な珍しい天体が誕生したのです。
この形成に関するより正確なモデルを作るためには、さらなる観測を行わなければならないと研究者は話しますが、これは連星の特殊な進化を理解するための新しい手掛かりとなりそうです。