227個中大人になれたのは1個のみ

今回の研究において研究者たちは、227個の未受精卵または卵母細胞を材料にして実験を開始しました。
このうち細胞分裂をへて「胚」の段階に達したのは192個でしたが、マウス子宮内部で満期の胎児にまで成長したのはわずか14個(匹)のみでした。
また14個(匹)のうち、生きてうまれてきたのは3匹のみであり、大人になるまで生き残ったのは1体だけでした。
さらに生きてうまれた3匹も通常の子マウスと比べて体重が少なく、いくつかの遺伝的異常(奇形など)をもっていました。
この低い成功率の原因として考えられるのは、優先ラベルの操作不足と考えられます。
今回の研究で操作対象となった優先ラベルは7個のみでしたが、他の研究では優先ラベルが他にも71個存在することが報告されています。
研究者たちが行ったラベル操作は卵子を勘違いさせるには十分でしたが、健康な次世代を作るには不足していたようです。
現実の畜産業やヒトに適応するには、さらなる実験データの収集が必要になるでしょう。
それでも、未受精卵のみを材料にして少なくとも1匹のマウスを大人にできたことは、大きな進歩と言えます。
2019年に行われた研究では、幹細胞のみを材料にしてマウス胚を創造することに成功するなど、生殖と発生にかかわる技術は急速に進んでいます。
精子・卵子・体細胞・受精卵・胚などの境界がなくなった場合、私たちは何をもってして命の尊厳とするか、考え直さなければならないのかもしれません。