血液に触れると瞬時に固化するヒドロゲル
開発された合成ヒドロゲルは、はじめは液体ですが、血液などの体液に触れると瞬時に固化します。
これは、この合成ヒドロゲルが中性において速やかに固体化する性質をもっているからです。
そして体液にはpHを一定に保つ働きがあります。
そのため、弱酸性の合成ヒドロゲルは体液に押し付けられることで瞬時に中和されます。
体液を巻き込んで固化するのです。
この作用は血液でも同様に起こるため、周囲の血液ごと固化して止血してくれる、というわけです。
実際、抗凝固薬(血液凝固反応を抑え、血液をサラサラにする薬)を与えたラットにおける実験でも、瞬時に止血できました。
また、既存の止血方法(止血剤+圧迫止血)と比べても、合成ヒドロゲルの方が早く止血でき、炎症反応も軽度に収まると判明しました。
さて、今回開発された合成ヒドロゲルのメリットは、人間や動物がもつ血液凝固反応とは独立している点にあります。
そのため、抗凝固薬を利用している患者でも速やかに止血できる可能性があるのです。
また、合成材料であるため、未知のウイルスが混入する恐れもありません。
さらに体液全般に反応するため、髄液などの漏出防止材としても活躍するでしょう。
あらゆる体液の漏れを瞬時に止める合成ヒドロゲル。実用化が大いに待たれますね。