巨大散弾銃と大気圏を利用した防衛構想
NASAはこうした問題に対して、発見から数日から数時間程度で地球に衝突する小惑星に対処する方法を募集しています。
この中で現在有望な計画の1つが、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者フィリップ・ルビン(Philip Lubin)氏によって提案されている「Pi – Terminal Defense for Humanity」という防御計画です。
Piとは「PulverizeIt(破砕)」の略で、つまり危険な小惑星を破壊してしまうという計画です。
ほとんどの小さな小惑星が地球で問題にならない理由の1つは、それが地上に到達する前に燃え尽きてしまうからです。
大きい欠片になると燃え尽きずに地上に到達することになりますが、これも大気摩擦によって減速するため、地上にぶつかっても壊滅的な問題にはなりません。
数メートル規模の発見が難しい小惑星は、それよりさらに細かく砕いてしまえば、地球には特に被害を及ぼさないただの流れ星になるのです。
PIシステムでは100kgの質量を持つ貫通ロッド(小さな棒)を10✕10でばらまく散弾ミサイルを打ち込み小さな小惑星を粉砕します。
ルビン氏は、このシステムは軌道上、または月面基地に配置するべきだろうと話します。
月面基地は特に有望な配置場所であり、大気が薄い月面では、赤外線や光学機器で小惑星の検出が容易になる他、重力が小さいため驚異が特定された場合、数分以内にこの散弾ミサイルを打ち上げることが可能になります。
そうなれば、ツングースカ大爆発やチェリャビンスク隕石のような危険な小惑星による地上の被害を未然に防ぐことができるようになるでしょう。
このPiシステムは、NASA先端概念研究所(NIAC)プログラムのフェーズ1に選ばれています。
まだ構想の段階とは言え、たとえ数時間後に衝突する小惑星でも対処できる時代は近いようです。