謎多き小惑星リュウグウの起源
JAXAの探査機、「はやぶさ2」の探査活動では、リュウグウの構造がスカスカの軽石のような多孔質であることが明らかになっています。
また、リュウグウは赤道にあたる中央部分が膨らんだダイヤ型の形状をしており、これはかつてこの天体の自転速度が速かったためだと推測されています。
こうした事実から、リュウグウがなぜスカスカの構造なのか? ダイヤ型の形状を作った速い自転速度はどうやってもたらされたのかなど、リュウグウの形成過程について多くの謎が生まれたのです。
これについて、JAXAをはじめとした研究グループは、もともと塵(ダスト)の集まった低密度のスカスカな微惑星に別の天体がぶつかって砕けた後、高密度のコアに再びその塵が集まって現在のリュウグウを形成したという説を発表しています。
衝突の衝撃が速い自転速度を生み、そのため塵はダイヤ型に集積していき、現在のスカスカで中央が膨らんだ小惑星になったというのです。
ただ、塵が再集積して小惑星を形成する詳しいメカニズムはよくわかっておらず、低密度のスカスカな小惑星がどの程度一般的なのかもまだよくわかりません。
また、はやぶさ2が持ち帰ったサンプル分析からは、他天体との衝突の可能性が低いと考えられています。
そのため新たな説として提案されているのが、小惑星リュウグウがもともと彗星だったのでは? という考え方です。
今回の研究はこの「彗星起源説」が実現可能かどうかを検証し、彗星が小惑星へと変化する過程を理論的にモデル化しています。
しかしまず、ほとんどの人は「小惑星と彗星って何が違うの?」と思っているかもしれません。
なので、この2つの違いについてまずは解説していきましょう。