睡眠不足が「内臓脂肪」を蓄積させる
体脂肪には、「皮下脂肪」と「内臓脂肪」の2種類があります。
皮下脂肪とは、皮膚のすぐ下にある脂肪のことであり、私たちの体につく脂肪のほとんどがこれに該当します。
指でつまめる脂肪が、「皮下脂肪」なのです。
一方、内臓脂肪は内臓まわりにつく脂肪のことであり、指でつまむことができません。
内臓脂肪が多くなると、お腹がパンパンに張ったように丸くなるのが特徴です。
ちなみに、体重に表れにくい「隠れ肥満」も、この内臓脂肪が原因です。
そして、内臓脂肪の増加は生活習慣病リスクと関連しており、特に注意が必要だと言われています。
そこで研究チームは、内臓脂肪の増加要因を探るため、現代人に多い睡眠不足との関連を調査することにしました。
実験には12人の健康な成人が参加。
2つのグループ(4時間睡眠グループ、9時間睡眠グループ)に分けて、睡眠時間を以下のように調整しました。
- 1~4日:両グループが9時間睡眠(順応期)
- 5~18日:片方のグループは4時間睡眠、もう片方は9時間睡眠
- 19~21日:両グループが9時間睡眠(回復期)
- ※食事は自由に摂取できる
その結果、4時間睡眠を2週間続けたグループは、その期間中の摂取カロリーが順応期に比べて1日平均300キロカロリー増加していました。
しかも消費エネルギーはほとんど変わっていませんでした。
つまり、睡眠不足のグループは余分に食べてしまう傾向があったのです。
また4時間睡眠グループは、9時間睡眠グループと比べて腹部内臓脂肪が11%も増加。
そして研究チームは、内臓脂肪の蓄積について次のように述べました。
「通常は皮下脂肪が優先的に蓄積されますが、睡眠不足によって内臓脂肪の蓄積が優先されるようです。
さらに重要な点として、1日4時間睡眠を2週間続けたグループでは、回復期に摂取カロリーと体重の減少が見られましたが、内臓脂肪は増加し続けました。
このことは、睡眠不足が内臓脂肪蓄積の引き金であり、少なくとも短期的には内臓脂肪の蓄積を元に戻すことはできないことを示唆しています」
ですから慢性的に睡眠不足の人は注意しなければいけません。
体重が少ししか増加していなくても、内臓には厄介な脂肪が蓄積されているかもしれないのです。
「寝てない自慢」はなるべくやめて、健康でスリムな体を目指しましょう。